人間は、時にその好奇心から恐ろしい実験を行ってしまう生き物です。
その結果に胸躍らせ、いかなる結果も受け止める探求心は人間独特の感性のようにも思います。
今回ご紹介するのは、ある天才が抱いた疑問、それを解決するために行われたにわかには信じがたい実験のお話です。
今では倫理上、絶対に公にはできない実験に衝撃を覚えるかもしれません。
得られた実験結果は貴重で驚愕の事実に値しますが、どうか心して読んでいただきたいと思います。
■言葉を習わずに育った子どもが「最初に話す言葉」は?
神聖ローマ帝国の皇帝「フリードリヒ2世」。
彼は中世に近代文化をいち早く取り入れ「王座上で最初の近代人」と歴史家から評される皇帝の一人です。
学問や芸術に関しても興味が深く、豊富な知識を有しており、6ヶ国語を自在に操った天才ともいわれています。
ある時、彼は一つの疑問を抱きます。
それは「言葉を習わずに育った子どもが、初めて話す言語は何か?」というもの。
彼の予想は「ヨーロッパ民族の祖先が話したという神の言語『ヘブライ語』を習わずとも子供たちは話すのではないか」というものでした。
実験はすぐに行われました。
彼は幼い捨て子50人を集めて部屋に隔離し、決められたルールのもとでその赤ん坊たちを育てることにしたのです。
そのルールというのは以下のことでした。
「赤ん坊の世話をする人間は、赤ん坊に対して......」
①「目を見ない」
②「笑いかけない」
③「語りかけない」
④「泣いてもあやさない」
この恐るべきルールのもと、実験は行われました。
果たして赤ん坊たちは成長するに従い『ヘブライ語』を話すようになったのか?
結果は「50人の赤ん坊は言葉を話すどころか、1人残らず1歳を前にして死亡してしまった」というのです。
人間が生きる上で必要な栄養は問題なく摂取していたにも関わらず、おそらくは「愛情」や「優しさ」「温もり」を感じ取れなかったことで生命の維持機能が正常に働かなくなってしまったのだと思います。
この悲しい実験から、人間は人として生き、育つためには少なからず「人の愛情」が必要であることがわかります。
今生きているすべての人間は「愛情に支えられて生きてきた」ともいえるのではないでしょうか。
現代の大脳生理学では、3歳までの間に母親との触れ合いが4時間未満の子どもは「脳の発達に異常をきたす可能性が上がる」といわれているそうです。
母親の偉大さ、人間の脆さを感じさせる一説だと私は感じました。
■まとめ
人間の好奇心・探求心が生んだ悲し過ぎる実験。
しかし、結果として栄養以外で「人間が生きていくために不可欠な要素」を導き出した尊い実験だったともいえるのかもしれません。
この実験結果でカギとなったのは「人の愛情」なのか、はたまた「過度に受け続けたストレス」なのかはわかりませんが、仮にストレスによって死に至ったのであれば、それは「人にとって人との関わりは生きるために必須」ということと同意ではないでしょうか?
この実験結果から感じ取る印象はもしかすると人それぞれなのかもしれませんが、いずれにせよ今を生きるすべての赤ん坊が確かな愛情を持って育てられることを切に望みます。
最後までご覧頂きありがとうございました。