2017年11月10日(金)、サッカー日本代表ハリルジャパンが来年のワールドカップ本戦に向けた国際親善試合で"サッカー王国"と呼ばれる強豪ブラジルとの一戦に挑みました。
決戦の舞台はフランス・リール、日本時間の『21:00』に試合は開始されました。
来年のロシアワールドカップへの出場を賭けた南米予選を圧倒的な力で勝ち上がり見事に突破した現ブラジルは、今最も世界一に近い国と言われています。
まさに世界最高峰の力を前に、自分たち日本代表の力を示すには絶好の機会と、どの選手も強い意気込みで試合に臨みました。
しかしながら結果は『日本代表1-3ブラジル代表』。
現ブラジル代表の強さを改めて感じさせる試合内容でした。
そこで今回はブラジル代表の『強さの分析』と『日本の敗因』について考えてみたいと思います。
■日本代表『情報まとめ』
■日本代表『ヴァヒド・ハリルホジッチ』監督(65)の試合前コメント
「ブラジルは今世界で一番強いチームだ。」
「ワールドカップに向けて日本がどのレベルにいるのか確認する良いテストだ。」
■日本代表選手の試合前コメント
◎長友佑都(31)選手「世界No.1のチームと対戦できるっていうのは自分たちの位置を測れるという意味でもすごく実りのある試合になるんじゃないかなと思います。」
◎遠藤航(24)選手「世界のトップが相手。速攻のイメージはできている。勇気、スピード、パワーを持たないとカウンターはできない。」
■日本代表スターティングメンバー
GK:川島【1番】
DF:酒井【19番】
DF:吉田【22番】
DF:槙野【20番】
DF:長友【5番】
MF:山口【16番】
MF:長谷部【17番】
MF:井手口【2番】
FW:久保【11番】
FW:原口【8番】
FW:大迫【15番】
■ブラジル代表『情報まとめ』
■ブラジル代表『アデノール・レオナルド・バッチ』(愛称:チッチ)監督(56)の試合前コメント
「すべての選手が重要であり、すべてのゲームがワールドカップに繋がっている。」
「大事なことは試合に集中することだ。」
■ブラジル代表の注目選手
『ネイマール(25)』史上最高額となる移籍金約290億円でバルセロナからパリサンジェルマンに移籍を果たした世界的スタープレイヤー。
『マルセロ(29)』レアル・マドリード所属。
『ガブリエウ ジェズス(20)』マンチェスター・シティ所属。
■ブラジル代表スターティングメンバー
GK:アリソン【1番】(ローマ)
DF:ダニーロ【22番】(マンチェスターC)
DF:チアゴ・シウバ【14番】(パリサンジェルマン)
DF:ジェメルソン【4番】(モナコ)
DF:マルセロ【12番】(Rマドリード)
MF:ジュリアーノ【18番】(フェネルバフチェ)
MF:カゼミーロ【5番】(Rマドリード)
MF:フェルナンジーニョ【17番】(マンチェスターC)
FW:ウィリアン【19番】(チェルシー)
FW:ガブリエルジェズス【9番】(マンチェスターC)
FW:ネイマール【10番】(パリサンジェルマン)
■前半戦の試合内容
●前半8分:日本側ペナルティエリア内で日本のファール。吉田にイエローカード(ホールディング)。ブラジルにペナルティキックのチャンス。
●前半10分:ネイマールがペナルティキックを決めてブラジルに先制点。【日本0-1ブラジル】
●前半15分:日本ペナルティエリア内で日本のファール。ブラジルにペナルティキックのチャンス。
●前半16分:ネイマールがペナルティキックを蹴るが、GK川島がファインセーブ。
●前半17分:GK川島のファインセーブでゴール前にこぼれたボールを井手口がクリアミス。こぼれ球をマルセロが押し込みブラジルに追加点。【日本0-2ブラジル】
●前半28分:日本フリーキックのチャンス。吉田がフリーキックを蹴るが惜しくもブラジルのゴールポストに直撃。ゴールならず。
●前半36分:ガブリエルジェズスがクロスに合わせてゴールを決める。【日本0-3ブラジル】
■前半戦の分析
試合開始早々、序盤からブラジル代表が圧倒的な攻撃力で日本ゴールに攻め込んできました。
正直テレビから俯瞰的に観ていた私からすると、『個人技』『スピード』『フィジカルの強さ』どれをとってもブラジル代表選手のそれは日本代表選手のそれを遥かに凌駕していました。
またブラジル代表の動きで印象的だったのは『どの選手もとにかくピッチをよく動き回っていた』こと、そして『ボールを奪ってからシュートに至るまでがとにかく速かった』ことです。
更には現ブラジル代表チッチ監督になってから徹底的に強化してきたという、ある意味"今までのブラジルらしくない"『組織的な守備』は、日本のボールキープを簡単には許してくれませんでした。
正直言って気持ちはよくわかってしまいますが、日本代表選手は皆一様に面食らったと思います。
私も正直ブラジル代表のあまりの強さに驚いてしまいました。
しかしこれが最悪の展開へと進む原因となってしまいました。
ブラジル代表のあまりの攻撃力に日本代表は常に引き気味でプレイしてしまいます。
自ずとラインは下がってしまい、ボールへのプレッシャーもかけられない状態が続きます。
当然自然と日本代表選手全体の攻め気も薄れていた印象でまともなシュートまで繋げることも叶わない状況です。
この状態はある種"ブラジル代表にはやりたい放題"の状況で、『好きな攻め方』『得意な攻め方』を安易に実行出来る状況を作り出してしまいました。
当然ブラジル代表の攻撃はますます過激化し、しまいにはファールをしなければ止められない状況にまで追い込まれてしまいました。
日本代表としては想定以上であったであろうブラジル代表の強さに、対処すべく体制を整えている間に2本ものペナルティキックを与えてしまうという結果となってしまいました。
結果2点を先制したブラジル代表は、この段階からボールキープに比重を置くスタイルに移行し、慎重に守りつつチャンスを伺うという試合運びに変えてきます。
一方2点を失った日本代表は、この段階で『点を取られない』サッカーを否定され、『点を取らなければならない』状況により、やっと積極的にボールを取りに行きます。
『守るサッカー』から『攻めるサッカー』へと自然とシフトチェンジを図った日本代表選手の動きとプレッシャーに、ブラジル代表も次第に連係ミスが増えてきます。
やはり『攻撃は最大の防御』なんですね。
日本代表のプレッシャーによるブラジル代表のミスで、日本代表がボールキープ出来る時間も増していきました。
お互い堅実なプレーが続く中、ブラジル代表が追加点を冷静に入れたことは流石としか言いようがないです。
ただ日本代表は序盤に著しく消耗した精神的、肉体的疲労によって動きが鈍くなっていた印象は拭えません。
■後半戦の試合内容
●後半17分:井手口からのコーナーキックを槙野がヘディングシュート。日本の本試合初ゴール。【日本1-3ブラジル】
■後半戦の分析
ある意味"失点のプレッシャー"から解放された日本代表の動きは、前半戦とは打って変わって軽快になりました。
ブラジル代表ボールも積極的に奪いに行きます。
結果としてブラジル代表のミスタッチが自然と増え、日本がボールキープ出来る時間が増えたことが1点に繋がったと思います。
ハリルホジッチ監督も試合後にコメントしていましたが、「後半戦だけならば日本が勝っていた。そう思いたい。」私も同じ気持ちです。
後半ブラジルは積極的に選手交代を利用しチーム全体での連携強化、試合勘を育てる場として活用していた感は否めませんが、それでも交代選手も国際レベルのトッププレイヤーばかり。
そんなブラジル選手たちを相手に、後半戦を無失点に抑えた日本代表選手の力もまた確かなものだと感じました。
■日本の敗因は?
やはり敗因は『前半戦』。
ブラジル代表の実力に瞬時に対応できなかった対応力の無さが、この結果を招いてしまったと思います。
しかしながら、今回対戦した現ブラジル代表の強さは正しく本物で、南米予選を圧倒的な力で勝ち上がったのも頷けます。
日本代表としても強いことは十分想定していても、実際はその想定を遥かに超える強さだったと思います。
まさにワールドカップ本戦を闘う前に日本代表選手にとって貴重な経験となったと思います。
今後は想定を超える相手に素早く対応出来る対応力、そしてどんな相手にも積極果敢に攻め込む攻撃性を期待したいと思います。
■最後に
次回の国際親善試合は11月15日(水)、ベルギー戦です。
国際サッカー連盟(FIFA)ランキングが5位の強豪チームです。※ちなみに日本は44位、ブラジルは2位
過去の対戦成績は2勝2分けと良い結果を残せているベルギー戦ですが、ブラジル戦同様に格上の強豪チームに変わりはありません。
今回のような遅れは取らない試合運びが出来ること願いたいです。
本試合の経験を糧に日本代表選手の更なる活躍と躍進に期待します。