ふと観ていたテレビ番組(芸能界特技王決定戦TEPPEN)で「9マス将棋」という玩具を取り扱っていた。
本来「9×9で81マス」の将棋盤を「3×3で9マス」まで縮小し、盤上で操るコマも少なくした所謂『小型将棋』。
何やら最近、子供が小学校や保育所で将棋のようなもの(どうぶつしょうぎなど)に触れる時間が増えたようで、本物の将棋にも興味を示していた。
「本物の将棋を覚えるのにも繋がりそうだし、いいかなあ」と思い早速購入。
実際に子供たちとプレイしてみてわかったことがたくさんあったので、「9マス将棋」の紹介と共にまとめてみた。
9マスって......狭っ!!
見て頂ければ狭さは感じてもらえると思うが、実際にプレイしてみると更に狭く感じる。
否応なしに勝負は短期決戦となり、良い意味でサクサク勝負を楽しめると言える。
盤自体は木製だが「耐久力に不安がない」とはお世辞にも言えない作り(笑)
しかし、壊れたりなくなったりしても自作してしまえる範囲のものなので、実際遊ぶ分には実用十分とも言えるかもしれない。
コマはしっかりしている...んだけど...
コマも木製でしっかり作られている。
ただ、実際にプレイしてみると「やっぱり...」なことが。
実はテレビで観たときのコマには進行出来る方向に矢印がついており、どのコマがどんな動きが出来るか一目でわかるように作られていた。
しかしながら、実際の「9マス将棋」に入っているコマにそのような処置はされていない。
「覚えるためだからいいよね」と思っていたが、さすがに子供にはかなり高いハードルだったようだ。
動かし方の書いてある紙とにらめっこして、全然先に進まない(汗)。
決して初心者向けではない!?
正直言ってこの「9マス将棋」は、コマの動かし方や基本的なルールを完全に把握している状態でないと普通に遊べない。
常に王手の掛け合いのような試合内容なので、高い思考の瞬発力が求められる。
瞬発力も何も、コマの動かし方を確認しながらプレイするような状態では、まともな勝負になるハズもない。
ぶっちゃけ通常の大きな盤面で動かす子供のわけわからない一手なら笑いごとで済むが、「9マス将棋」では死路にまっしぐらだ。
子供「これは大丈夫?」
自分「ダメだねー」
子供「じゃあこれは?」
自分「それもダメだねー」
子供「じゃあどれなら大丈夫?」
自分「全部ダメさ、もう詰んでるのよ...気付いて...」
子供「え~~!?」
ってことになる...。
更に言うと9マスの中では「無駄な行動=即詰み」となってしまうため、"手加減する"ということがほとんど出来ない。
"手加減した"瞬間詰んでいるからだ。
総じて初心者がプレイするには些かハードルが高いことは感じて頂けるだろう。
実は中級者向け!? 「9マス将棋」の真髄とは!?
基本を把握した上で遊ぶ分にはとても楽しめる。
勝負のテンポも非常に良い。
言ってしまえば、「対人による変化する詰将棋」だ。
難易度は相手の力量と初期配置による。
写真のような初期配置図が用意されているので、難易度は調整しながら何度も楽しめる。
そして確かに回を重ねる毎に、将棋の奥深さは伝わってくる。
これだけ制限された空間だと、「動かすと負ける」状況や「動かさなければ勝てる」状況が多く発生する。
この状況により「守りに使う持ち駒の使い方」や、「パス代わりの持ち駒打ち」という技術が自然と身に着く。
おそらくこの「9マス将棋」をプレイした方なら、通常の将棋の局所的な攻防力もかなりレベルアップすることだろう。
コマを動かすことから一つ上のレベル、「勝つための動き」「守るための動き」を学ぶためには、とても力になってくれるゲームだと感じた。
最後に
「初心者向けに」あるいは「将棋を覚えるために」と考えている方には注意して頂きたいが、基本を覚えた上でのレベルアップにはもってこいのゲームだということが私の感じた印象だ。
この「9マス将棋」、一手悪手を打った時点で負けてしまう。
そんなシビアな勝負、基本を把握している者同士で遊べば面白いに決まっている。
負けた方は悔しくて何度も挑戦したくなる。
限られた状況下で最善の一手を導き出す瞬発力をこのゲームで鍛え上げるのも面白いかもしれない。