「ギブソンのギターが欲しい」
「ギブソンギターのジャリジャリした音が好きだ」
「ラウンドショルダー型のギターがカッコイイ」
ギブソンギターに憧れる要素は人それぞれだと思うが、購入前の最終的な関門として価格が高い(20万円以上)ことが挙げられる。
「実際にギブソンギターは買えないけど、なかなか諦めがつかない...」
ギブソンギターの購入は余程のお金持ちでもない限り、安易に購入出来る価格ではないだろう。
特にこれからギターを始めようとしている初心者の方にはかなりハードルが高いと思う。
それでも何かのキッカケでギブソンギターを知り、その形や音色に心奪われた人にとって、他のギターを最初に選ぶということはなかなかに難しいことだろう。
「せめてギブソンギターの廉価版みたいなギターがないのかなあ...」
実はあるのだ。
この記事に辿り着いた方ならば既に承知のこととは思うが、そのギブソンギターの「廉価版」ギターを販売してくれるのが「エピフォン」だ。
過去には多くの有名アーティストも愛用していたギターメーカーで、現在でも人気のオリジナルモデルが存在する。
だが、1957年にギブソン社に買収され、以降ギブソンギターの所謂「廉価版」ギターも多数製作し取り扱いを行っている。
補足ではあるが、あなたは「廉価版」という言葉にどんなイメージを持つだろうか。
私は実に良い印象に受け取っている。
そもそも「廉価版」とは、ある製品の普及を目的に低価格化を図った商品のこと。
私はこの「廉価版」とは、所謂「本物」と同等のコストは掛けられてはいないが、可能な限り消費者の意図する購入理由に沿った形で商品を製作したものととらえている。
正直理解のない人には「ニセモノ」とか「パチモン」とか言われることもあるが、今回のギターの件で言えば、ギブソンギターは買えないからと言って他のメーカーのギターで大人しく我慢するような人より、ギブソン傘下のメーカーで廉価版ではあれども、そのフレバーを引き継いだギターを購入し使い倒すことの方が私はよっぽどカッコイイと思える。
話がそれてしまったが、結局人間一度カッコイイと思ったものや、欲しいと思ったものはなかなかに忘れられないもの。
「エピフォン」のギターはギブソンに憧れた人達に優しく入門機を与えてくれる素敵なメーカーなのだ。
私は10年以上前から、エレキ、アコギ合わせて5本以上のエピフォン製ギターを購入し使用してきた。
以下に簡単ではあるが、その使用感、感じたメリット・デメリットをまとめてご紹介したい。
購入を検討している方の参考になれば何よりである。
音色は確かにギブソン系 しかしながら...
まずは最も気になるであろう音色だが、これは良くも悪くも再現している感じはする。
ギブソンエレキの代表である「レスポール」モデルのギターでは、かなり「モワッ」とした感じの音がするし、ギブソンアコギの代表である「J-45」モデルのアコギでは「ジャリジャリ」している。
まあ確かに特徴はとらえているのだが、それだけに注力されているとも言える。
例えばレスポールで言うと、高音弦側が全然鳴らなかったり、ギブソン本来の豊かなサスティーンが得られなかったりと、「あれっ!?」と感じる部分は確かに存在する。
しかしながら、この部分に違いがなければ誰もギブソンギターを買わないわけで、価格とのトレードオフである以上当然のことだろう。
感覚的には「音色は確かにギブソン系」、ただ音色自体は「価格相応」であると感じる。
おそらく人によって音色でも気になる部分はそれぞれだと思うので、以下に「レスポール」モデルと「J-45」モデルの音色における感想をまとめておこう。
購入時に妥協できる部分であるか検討するのに活用いただければと思う。
エピフォン製「レスポール」モデルの音色
・良く言えば暖かみのある音色、悪く言えばこもってるような感じにも聞こえる。
※本来のギブソン製「レスポール」では、暖かみがあり且つ音の輪郭は明瞭である。
・特に高音弦側の鳴りが悪く、サスティーンも満足に得られない。
・クリーントーンのエフェクターとは相性が良い印象。調整次第では奇麗な音になる。
・歪系のエフェクトでは変化が顕著。若干輪郭がぼやけている。
【総評】
エレキの宿命として余程良いアンプを使用するのなら別だが、通常はエフェクターを利用することが多いと思う。
言ってしまえばエフェクター側の調整で音色はいかようにも変えられる。
若干輪郭が不明瞭な点は調整の際の課題となるが、それさえ利用した音作りも可能だし、言ってしまえばそこが気になる聞き手はごく一部の人達(ギタリスト)だけだと私は思う。
最終的にギターを弾いて聞いてくれるのはギターを弾けない人達であり、ギタリスト相手に聴かせるのでないのであれば、全く問題ないレベルの音色と取っていいと思う。
エピフォン製「J-45」モデルの音色
・ギブソン特有ドンシャリ音の「ドン」がない感じ。ジャリジャリ。
・低音弦側の鳴りが弱い。全体的にサスティーンも足りない。音量も少ない印象。
・価格帯による差が激しい。
【総評】
エレキと違ってエフェクトによる加工で変化をつけられないアコギでは、そのギター本来の力の差がもろに現れる。
そして価格帯によってもその力にかなりの差があることを知っておいてほしい。
具体的には定価で20,000円~30,000円のモデルには手を出さないことを勧める。(購入するとなると15,000円~20,000円くらいのもの)
定価で50,000円を超えてくるモデルであれば、値段相応の音色となるだろう。(購入するとなると35,000円~40,000円くらいのもの)
スペックを確認できる方であれば少なくともトップとバックが単版のものを強くお勧めする。
鳴りが格段に違う。
それに「エピフォン」ならばそのスペックでも40,000円~50,000円で手に入るからお財布にも優しい。
更に言えば、アコギの音色は使用する「弦」や「ピックの材質、厚さ」によってもかなり変化する。
私の感覚としてはアコギにおける音色の50%以上に影響している。
トータルで定価50,000円以上のモデルであれば概ね初心者には満足出来る音色を得られるのではないかと感じる。
見た目はほとんどギブソンです(笑)
もちろん個体差はある(ギターは生き物)のだが、そこまで汚く(笑)作ってはいない印象。
よーく見ると丁寧とは程遠い仕上がりだったりするが、パッと見はまったく問題ないし、カッコいい。
特に音色の時にも記述したお勧め出来る購入ラインとして定価50,000円以上のモデルであれば意外と丁寧に作られている印象だ。
ちゃんと調整は出来るのか!?
ある程度ギターに慣れてくると「調整」という作業が必ず必要になってくる。
まず先に伝えておくが、安価なギター(10,000円前後)ではこの部分にかなりの問題を抱えていることが多い。
実はこの部分はどのメーカーでも同じ答えになる。
「価格によってしっかり調整できるかどうかが決まる」
初心者の方の多くは安価なギターを入門機として購入し始める方が多いと思うが、この部分にだけは落とし穴がある。
初心者にとって音なんて鳴ればいいし、見た目は好きなものなら問題ない。
私もそう思う。
しかし、少しギターを続けていくと「弦高が高いかな?」とか「ネックが反ってる?」と感じる時が必ず来る。
この時適切に調節出来て、その後も使用に耐えるギターになるか押し入れに眠るかは実は価格次第だったりする。
難しいことを言いたくないので簡潔に示すが、とにかく定価で20,000円以下のギターは買わない方がいい。
まともにある程度の調節ができるものは定価で35,000円以上のものを選ぼう。
もう10,000円とか20,000円とかのギターは、「問題があっても文句を言ってはいけない」と思っておけば買っても問題ないと言えるかもしれない(笑)
結局のところ買いなのか!?
結論としては「人は選ぶが実際買っても大丈夫」だと私は思う。
ギブソンギターを買う程の予算はないけど、似たギターで始めたいって方にはうってつけだ。
低価格帯のギターの出来が良くないのは承知の事実なので、理解した上で購入する分には何ら問題はない。
「安いものはダメだ」とか「初心者だからこそ良いものを」とアドバイスする人もいるが、私からすれば「確かに正論だが、初心者の立場に立って考えられていない」と思う。
安かろうが悪かろうが、まずはギターを始めたいと思う気持ちを尊重したいと私は思うし、ギターの価格で始めるか否かを迷うようなアドバイスをする人はナンセンスだと思う。
上達すれば自ずと弾きやすいギターを欲してくるし、悪いギターを最初に体験しておけば、質の良いギターを手にした時は一気に上達出来る。
「エピフォン」は「まずは好きなギターで始めたい」って気持ちを叶えてくれる素敵なメーカーだ。
今までに紹介したポイントを踏まえて、購入の参考になれば非常に嬉しく思う。